大量発生しているツヤアオカメムシの生態と対策【2023年9月】
2023.09.29
いま、阪神間でたくさんみかける、緑色のカメムシについて解説します。
このカメムシはツヤアオカメムシ(写真左上)という種です。
他にもよく見るカメムシとは、あざやかな緑色でツヤがあることで見分けられます(ミナミアオカメムシやアオクサカメムシはツヤがない)。
ツヤアオカメムシは夏に山のスギやヒノキの実を吸って繁殖します。増えた成虫は、9月中下旬以降の秋になると、山からいろんな方向に向かって分散します。
いま、市街地などでもみられるツヤアオカメムシは、発生地から分散した個体です。
光に集まる習性があるので、街灯や建物の照明に集中します。
より強い光により多く集まるので、建物の入口や窓、集合住宅の廊下などは、消してもよい照明を落とすなどして光量を下げるとカメムシの誘因数を減らすことができます。
カメムシは刺激しなければにおいを出すことはありません。
室内に入ってきたカメムシは、底を切ったペットボトルの中にそっと追い込み、外に放り出すことをおすすめします。
以下、ツヤアオカメムシについてのQ&Aです。
Q: 今年は特別多いの?その理由は?
A: みなさんご覧のとおり、多いです。
山で繁殖するさいの餌となるスギやヒノキの実が多かったのではないかと思われますが、それ以外の要因についてはわかりません。
Q: 都市部に集中する理由は?
A: 光に集まる習性があるので、都市部をめがけて山から飛んできている可能性はありますが、実はいろんな方向に飛んでいっています。都市部でないところでも、照明のある場所(コンビニ・駅・高速道路のサービスエリアなど)などでもたくさんみられます。また、都市部でも強い光のある建物のまわりに集中し、人目につくことが多いので、話題にもなりやすいものと思われます。
Q: カメムシのにおいがついたらどうしたらいいの?
A: カメムシのにおいはアルデヒド類を主成分とした化学物質の混合物で出来ています。におい物質は揮発・分解するので、基本的には時間が解決してくれます。衣服についた時は普通に洗濯すれば消えます。手についたら、何度も洗えば消えます。におい物質にはアルコールに溶けやすい成分があるので、消毒用アルコールをつけてもみもみしてから、石鹸で水洗いすると、いくぶん早くにおいを落とすことができるかもしれません。におい物質は刺激性があるので、痛みを感じたり、目に入るなどしたら病院へいくことをおすすめします。
Q: このツヤアオカメムシたちはこれからどうなるの?
A: 予想でしかありませんが、照明に集まっている個体は、踏まれるなり焼け死ぬなりで消耗するので、波はあるものの徐々に減っていくものと思われます。それ以外の個体はさまよい続けて、冬もなんかうっすらとカメムシが目につくのが街の風景となるかもしれません。
Q: ツヤアオカメムシはどこで冬越しをするの?
A: ツヤアオカメムシは、生木の葉裏やそこら辺の隙間にもぐりこんで越冬します。街の中でも、街路樹や生け垣の植物の葉について冬を越します。冬でもあたたかい日は飛ぶなどして活動することがあります。今年の冬は少し多めにツヤアオカメムシをみることになるかもしれません。
Q: カメムシが大量発生した年は大雪になるってほんと?
A: 科学的根拠はないです。大雪になることもあれば雪が少ないこともあります。
解説:長島聖大(学芸員)