2026年3月閉館
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
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「AI・HALLで生まれた作品は永遠です!」 いいむろなおき

AI・HALLの子ども向け事業【みんなの劇場「こどもプログラム」】として誕生した『かえるの? 王子さま』、このプロジェクトがスタートしたのは初演の約一年前、アイホールのみなさんや当時の館長の山口英樹さん、ディレクターの岩崎正裕さんとの話し合いを重ねる中で徐々にコンセプトが決まりました。
岩崎さんの「3歳でもわかるキーワードは、おうちにかえるじゃないかな?」という一言から、家に帰る→蛙→蛙の王子様→家に帰れない王子様→かえるの?王子さま…と言葉遊びというかダジャレの延長からぼんやりとコンセプトが立ち上がりました。
そして岩崎さんからのもう一つの提案「家に帰ってからも楽しめるものがいいね」というところから、傘を車輪のように見せて自動車や自転車を表現したり、本が鳥のように羽ばたいたり、段ボール箱が組み合わさって大きなロボットになったり、新聞を派手に破って壁を突破するように見せたり…そうやって、できる限り身近なものを「見立て」の手法で見せるという枠組みのようなものができてきました。
さらに山口さんから「楽しいこと、なんでもやったらええねん」と言ってもらえたことが、シャボン玉マシーンやラストの巨大風船に繋がりました。
上演中の子供達の「かえる!かえる!」の声援や、「うしろ!うしろ!」などの興奮した声に、公演後「令和のドリフターズやな」と山口さんが笑ってくれたことを今も覚えています。

そんなAI・HALLから生まれた『かえるの? 王子さま』はその後、劇場をぴょこんと飛び出し、関西のいろいろな劇場でも上演を重ね、作品としての強度も増し、いいむろなおきマイムカンパニーのファミリー向けの代表作になりました。
AI・HALLにはこの作品だけではなくカンパニーの新作公演や他劇団のゲスト出演などで何度も舞台に立ちましたし、客席にも何度も訪れました。
劇場は無くなってしまいますが、ここで経験できたことやここで受けた刺激、そしてここで生まれた作品はきっとこれからも僕らの中に残ってゆくと思います。
そう、『かえるの? 王子さま』はそのうち海外公演ができるように! と考えていますよ。伊丹から世界へ!
AI・HALL、本当にありがとうございました!

いいむろなおき
マイム俳優・演出家・振付家。いいむろなおきマイムカンパニー主宰。パリ・マルセル・マルソー国際マイム学院卒業。スタイリッシュでスピード感溢れる作風に常に笑いを忘れないスタイルでもって国内外で舞台出演、マイム指導、演出等幅広く活動中。兵庫県芸術奨励賞、KOBE ART AWARD大賞、尼崎市民芸術賞、兵庫県文化賞を受賞。


