2026年3月閉館
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
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「AI・HALLだからこそのリアルな国際交流」土田英生
日英現代戯曲交流プロジェクト『ガガーリン・ウェイ』


私もAI・HALLでは劇団公演はもちろん、多くの企画に関わらせてもらった。他の演劇創作者と同じように私にとっても間違いなくホームといえる劇場の一つだった。
そんな関わりの中の一つが2004年から2008年まで行われた日英現代戯曲交流プロジェクトだ。AI・HALLの年表的にだけ語れば私のメイン参加は2005年にAI・HALLで行われたグレゴリー・バーク作『ガガーリン・ウェイ』のドラマ・リーディングの演出だ。ちなみにこれは谷岡健彦さんに下訳をしてもらい、私自身も共訳として劇作家視点で脚本づくりから参加。稽古、本番も楽しかったし、なによりグレゴリー・バーク本人との交流は今でも鮮明に記憶に残っている。
ただ、この企画はただの海外戯曲のリーディングなどというものではない。

エジンバラにあるトラヴァースシアターとAI・HALLが連携をして日本とイギリスの劇作家の作品をそれぞれの劇場でリーディング公演、さらには劇作家本人を現地に招いて話を聞くという企画だった。私も2004年にはエジンバラでトークに参加(メイン劇作家は松田正隆さんと鈴江俊郎さん)、2006年には岩崎正裕さんと共に自作を持ってエンジンバラに行った。つまり劇作家、劇場が一体となって交流を図るとても意義のあるものだったのだ。
そして、私が今更ながら強調したいのはこれがスコットランドにあるトラヴァースシアターと関西のAI・HALが行っていた企画という点だ。

日本の顔が東京になってしまうのと同様に、イギリスでもロンドンが中心になりがちだ。イギリスの場合は日本よりもさらに複雑で、スコットランドとイングランドは今でも本来は別の国なのだ(連合王国ということですね)。スコットランドの首都であるエジンバラは独自の舞台芸術文化を持つ。そんな中で中心的な役割を果たしている劇場がトラヴァースシアターだ。日英現代戯曲交流プロジェクトという名前ではあったが、「関西とスコットランドの劇作を軸にした交流」というフェーズがこの企画の独自性であったのだと思う。
ちなみに2006年のロナ・マンロー作『アイアン』のドラマ・リーディングでは私は観客だったが、交流会には参加させてもらった。その時にロナに同行していた子供のダニエル・マンローの遊び相手だった。実は今でもダニエルとは友達付き合いをしていて、つい最近も京都に遊びにきた、(大人になった)ダニエルと楽しくお茶を飲んだばかりだ。


土田英生(つちだ・ひでお)
愛知県出身。1989年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。1990年以降全作品の作・演出を担当する。1999年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。2003年文化庁の新進芸術家留学制度で一年間ロンドンに留学。2021年に作・演出を務めたピッコロ劇団『いらないものだけ手に入る』が第76回文化庁芸術祭大賞を受賞。


